Japan Wesley
Association
日本ウェスレー協会
「日本ウェスレー協会」の働きを
終えるにあたって
「日本ウェスレー協会」
（Japan Wesley Association）
は、1962年7月5日に、「ウェス
レー著作刊行会」（Japan Wesley
Translation）と「日本ウェスレー
学会」（Japan Wesley study
Society）の両者によって設立された。
両者は、同じ目的を目指すものであり、
前者は出版事業を、後者は研究活動を並行してそれぞれ運営してきたが、経験的に、また実際上の活動から見て統一することが時宜を得ているし、有効であるとして設立したものである。
「ウェスレー著作刊行会」は、1959年に、日本の現状において、宗教改革者達の研究に比べてジョン・ウェスレーの研究があまりにも遅れていることを憂えて、渡辺善太先生をはじめ当時の有数の方々により、新進の野呂芳男教授を中心に、まず必要なものはウェスレーの著作を日本語に訳して出版することであるとして、ウェスレーの著作の刊行事業を目的として
「ウェスレー著作刊行会」を設立したもの
である。
田添禧雄
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爾来、ジョン・ウェスレーの著作、『新約聖書註解』、『説教』、『神学論文』を全7巻で新教出版社から刊行した。当初、『手紙』、『日記』も含めて全10巻の予定であったが、山口徳夫訳の『信仰日誌』の全訳が出版されたこともあって、重複を避けて全7巻としたものである。ウェスレーの著作は遅々としてではあるが、絶えず買い求められており、いずれも版を重ね多いものは4版を重ねている。「日本ウェスレー学会」は、1960年11月に設立された。
趣意書によれば「さきに宣教百年を迎え、日本における伝道と神学との問題が改めて議論されております時、ジョン・ウェスレーに対する興味と研究熱とが各方面に起こりつつあります。これを全国的なものとし、さらに研究の進展をはかり、また若きウェスレー研究者の育成のため、ここにウェスレー学会を起こすことになりました。」とある。以来、ウェスレーおよびメソジズムの研究を通して日本の諸教会に貢献することを目的として活動してきた。
組織としては（敬称略で）会長に渡辺善太、名誉会員（学会創設会員として学会の設立発展に寄与された方々）に、E・M・アダムス、相浦忠雄、W・ビリングスレー、T・T・ブランボー、C・H・ジャーマニー、浜崎次郎、原野駿雄、比屋根安定、C・W・アイグルハート、今田恵、印具徹、河辺満甕、古坂嵓城、松本卓夫、都田恒太郎、武藤健、野呂芳男、大木金次郎、大村勇、大野寛一郎、
左近義慈、鈴木正久、高柳伊三郎、山口徳夫、
山崎治夫（ABC順）。
当初の常任委員は、比屋根安定、松本卓夫、
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武藤健、E・M・アダムス、野呂芳男が当っている。1972年時には、会員数は法人会員11団体、個人会員193名。会長は渡辺善太、委員長は野呂芳男、委員には、深町正信、藤本淑子、T・キッチン、J・クランメル、松本尚明、J・スキルマン、田添禧雄、山内一郎、新教出版社関係委員として秋山憲兄。関西委員には、船本坂男、松村克己、宮崎明治、宇都宮信哉
（ABC順）である。
「日本ウェスレー協会」の1959～1972年の活動は「ウェスレー双書第6号」に詳細に記録されている。
主な活動としては、「ウェスレーとメソジズム双書」（A5・100ページ前後）を発行（第6号まで）した。内容は「ウェスレーとカルヴィニズム」、「聖化」、「教会論」、「聖霊論」、「宣教」、「聖書解釈」を扱った。
定期公開講演は多岐にわたる主題で通算20回開催した。地方講演会や地区研究会も札幌、関西、長崎、福岡、弘前、名古屋等で行っている。
ことに力を入れて行われた「ウェスレー学会研修会」は、毎夏2泊3日、箱根千条旅館で、全国の神学校・神学部の学生や若い教職の養成のために開催し、毎回30～40名の参加があった。
チャプレンには、山崎治夫、鵜飼勇、
松本卓夫、深町正信、山内一郎が当たられ、
講師には、松村克己、石井次郎、佐藤敏夫、
中川秀恭、岸田紀等の特別講師のほか
野呂芳男、藤本淑子、T・キッチン
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J・クランメル、松本尚明、田添禧雄の委員が講師・指導者として参加した。これら研修会の費用は学会が負担した。
また海外の学会との交流も盛んにおこなわれた（詳細は双書6号に掲載）。
このような活動ができたことは、アメリカ・メソジスト教会の多額な献金と内外教会からの献金があった故であることを感謝するものである。また、『新約聖書註解 上・下』、『説教 上・中・下』の最後の版の出版のため日本基督教団渋谷教会（藤村和義牧師）から援助金をいただいたことと、新教出版社の倉庫料を減ずるため渋谷教会にお世話になっていることを感謝したい。
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このような活動を重ねてきたが、残念なことに、「日本ウェスレー学会」は、1972年6月、大学紛争がらみの理由で存立が困難となりやむを得ず解散することになった。解散後は「ウェスレー研究基金委員会」と名称を改め、その一部の機能を保持し、ウェスレー著作集重版発行の資金の手当て、ウェスレー神学書・研究書の出版活動を続けた。1985年には、L・M・スターキー著・山内一郎・清水光雄訳『ウェスレーの聖霊の神学』、1989年には、H・リントシュトレーム著・野呂芳男訳『ウェスレーと聖化』、1994年には、R・F・ウィアマス著・岸田紀ほか訳『宗教と労働者階級－メソジズムと
イギリス労働者階級運動1800-1850』、2
009年には、齋藤元子著『女性宣教師の
日本探訪記―明治期における米国メソジスト
教会の海外伝道 』（いずれも新教出版社発行）
等がそれである。
以上、大まかな「日本ウェスレー協会」の働きについて述べたが、最終の委員会は、田添禧雄が委員長、委員には野呂芳男、山内一郎、テオドール・キッチン（アメリカ在住）ジャン・クランメル（アメリカ在住）、藤村和義、ジョージ・ギッシュ、新教出版社関係委員・秋山憲兄が当っていたが、すでに、野呂芳男、ジャン・クランメル、秋山憲兄の委員の方々が天に召され、0000年以降は、「日本ウェスレー・メソジスト学会」がすでに活動を盛んにされている現在、「日本ウェスレー協会」はその役割を終えてもよいのではないかと決断するに至った次第である。
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顧みますれば、「日本ウェスレー協会」の業績は、尊い献金を捧げてくださったアメリカのメソジスト教会とウェスレー・メソジストに「心熱くする」日本の諸教会とが相俟って生じたものであるといえよう。それを具体化した働き人は、先に挙げた学会創立会員はじめ多くの方々がおられ改めて感謝する次第であるが、よき活動を成しえたことは、何よりも渡辺善太先生のお声がかりと、新進気鋭の野呂芳男先生の生涯にわたる情熱ある推進力と、
そして新教出版社秋山憲兄氏の
卓越した出版人の
お働きによるものと言っても
過言ではないであろう。
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藤本満先生のご尽力によって、このWeb-siteが完成した
時点で、「日本ウェスレー協会」その働きを終えるが、すべてのことを深い摂理のもと豊かな導きを与えてくださった主なる神に、そしてこれまで祈り支えて下さった（その多くが天におられる）方々、諸教会に改めて感謝するものである。
最後に、「日本のウェスレー協会の」こころざしの延長線上にある「日本ウェスレー・メソジスト学会」が、ますます祝福され、日本の諸教会のため貢献されることを祈るものである。
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参考文献
日 本に おけ るウェス レー 研究 の一齣
日本ウェスレー・メソジスト学会が 1999 年に設立されて早や 5 年目であ る。
そして『ウェスレー・メソジスト研究』第 5 号がここに発刊されることはご同慶の至りである。
このようにして学会研究活動が着々と進められていることは喜ばしい限りである。
先頃、日本基督教団出版局の「礼拝と音楽」123 号で、特集に「ウェスレ ーとメソジスト教会」が取り上げられた。充実した内容で、ウェスレーとメ ソジスト教会を歴史的に考察しながら、現代的にどのような意義があるのか わかりやすく特集された。その執筆者は、ほとんどが日本ウェスレー・メソ ジスト学会の会員であることは、この学会の実績を表していることではないだろうか。
さて、本稿を書くようにと仰せつかった機会に、既に第 1 号の巻頭言に鵜飼勇先生が日本におけるウェスレー・メソジズム研究の流れに触れていて下さるが、
さらに、日本におけるウェスレー研究
の一齣について紹介させていただく
ことをおゆるしいただきたい。
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「ウェスレー著作刊行会」は、1955年に、日本の現状において、宗教改革者達の研究に比べてジョン・ウェスレーの研究があまりにも遅れていることを憂えて、渡辺善太先生をはじめ当時の有数の方々により、新進の野呂芳男教授を中心に、まず必要なものはウェスレーの著作を日本語に訳して出版す
ることであるとして、ウェスレーの著作の刊行事業を目的として「ウェスレー著作刊行会」を設立したのである。爾来、ジョン・ウェスレーの著作、『新約聖書註解』、『説教』、『神学論文』を全7巻で新教出版社から刊行した。当初、「手紙」、「日記」も含めて全10巻の予定であったが、山口徳夫訳の『信仰日誌』の全訳が出版されたので、重複を避けて全 7 巻としたものである。 ウェスレーの著作は遅々としてではあるが、絶えず出ており、現在も版を重 ねている（多いものは 4 版を重ねている）。
「日本ウェスレー学会」は1960年11月に設立された。
趣意書によれば「さ きに宣教百年を迎え、日本における伝道と神学との問題が改めて議論されて おります時、ジョン・ウェスレーに対する興味と研究熱とが
各方面に起こり つつあります。
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日本ウェスレー協会
これを全国的なものとし、さらに研究の進展をはかり、また 若きウェスレー研究者の育成のため、ここにウェスレー学会を起こすことに なりました。」とある。以来、ウェスレーおよびメソジズムの研究を通して日本の諸教会に貢献することを目的として活動した。
主な活動としては、「ウェスレーとメソジズム双書」（A5・100ページ前後） の発行（第 6 号まで発行）。定期公開講演の開催（通算 20 回）。「ウェスレー 学会研修会」は毎夏 2 泊 3 日、箱根千条旅館で、全国の神学校・神学部の学 生や若い教職の養成のために開催し、毎回 30～40 名の参加があった。その他、地区研究会や地方講演会を随時行った。
組織としては（敬称略で）会長に渡辺善太、名誉会員（学会創設会員とし て学会の設立発展に寄与された方々）に、E・M・アダムス、相浦忠雄、W・ ビ リン グス レー、 T ・ T ・ブラ ンボ ー、 C・ H・ジ ャー マニ ー、 浜崎 次郎、原 野駿雄、比屋根安定、C・W・アイグルハート、今田恵、印具徹、河辺満甕、 古坂嵓城、松本卓夫、都田恒太郎、武藤健、野呂芳男、大木金次郎、大村勇、
大野寛一郎、左近義慈、鈴木正久、
高柳伊三郎、山口徳夫、
山崎治夫（ABC順）。
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日本ウェスレー協会
当初の常任委員は比屋根安定、松本卓夫、武藤健、E・M・アダムス、野呂芳男が当っている。1972 年時には、会員数は法人会員 11 団体、個人会員 193 名。会長は渡辺善太、委員長には野呂芳男、委員には、深町正信、藤
本淑子、T・キッチン、J・クランメル、松本尚明、J・スキルマン、田添禧雄、山内一郎、新教出版社関係委員として秋山憲兄。関西委員には、船本坂男、松村克己、宮崎明治、宇都宮信哉（ABC 順）である。「日本ウェスレー学会」の全活動は「ウェスレー双書第 6 号」に詳細に記録されている。
このような活動ができたことは、アメリカ・メソジスト教会はじめ内外教会からの多額な献金があった故であることを感謝するものである。
この「ウェスレー著作刊行会」と｢日本ウェスレー学会｣は、同じ目的を目指し、前者は出版事業を、後者は研究活動を、並行してそれぞれ運営してきたが、経験的に、また実際上の活動から見て統一することが時宜を得ている し、有効であるとして 1962 年 7 月、「ウェスレー著作刊行会」と｢日本ウェ
スレー学会｣を傘下の置く形で「日本ウェスレー協会」を設立した。
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しかしながら、残念なことに、｢日本ウェスレー学会｣は、1972年6月、大学紛争がらみの理由で存立が不可能となりやむを得ず解散することになった。
解散後は「ウェスレー研究基金委員会」と名称を改め、その一部の機能を保持し、ウェスレー著作集重版発行の資金の手当て、ウェスレー神学書・研究書の出版活動を続けている。1985年には、L・M・スターキー著・山内一郎・清水光雄訳『ウェスレーの聖霊の神学』、1989年には、H・リントシュトレーム著・野呂芳男訳『ウェスレーと聖化』、1994年には、R・F・ウィアマス著・岸田紀ほか訳『宗教と労働者階級―メソジズムとイギリス労働者階級運動 1800－1850』（いずれも新教出版社）等がそれである。
2005 年には、諸般の都合で遅れていた野呂芳男著『ウェスレー』（かつて日本基督 教団出 版局か ら出さ れたも のを同 出版局 のご好 意で譲 り受けたもの）を改訂出版する準備を進めている。
尚、現在の「ウェスレー著作刊行会」と｢日本ウェスレー学会｣からなる「日本ウェスレー協会」の委員会は、田添禧雄が委員長、委員には野呂芳男、山内一郎、
Ｔ・キッチン（アメリカ在住）。
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Ｊ・クランメル（アメリカ在住）、藤村和義、Ｊ・ギッシュ、新教出版社関係委員・秋山憲兄が当っている。
現在は微々たる働きしかできないが、日本のウェスレー・メソジスト研究のために何らかのお役に立つならば幸いである。
最後に日本ウェスレー・メソジスト学会がますます祝福され、日本の諸教会のため貢献されることを祈るものである。
参考文献
日本におけるウェス レー 研究 の一齣（2004年）
田添禧雄（日本基督教団姫路福音教会・牧師）
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